秋も深まってくると、天気予報やニュースで「東京地方で木枯らし1号が吹きました」という言葉を聞くことがありますよね。冷たい風に思わず肩をすくめて、「いよいよ冬が来たな」と感じる方も多いのではないでしょうか。
でも、「木枯らし」とはそもそもどんな風のことなのか、「1号」はどうやって決まるのか、と聞かれると、意外と答えにくいものです。強い風が吹けばいつでも木枯らし1号になるわけではなく、実はきちんとした条件があるんです。
この記事では、「木枯らし」の言葉の意味や由来、木枯らし1号が発表される条件、東京と近畿での違い、そして「2号」や「3号」がない理由まで、やさしく解説します。
目次
「木枯らし」の意味は秋の終わりから初冬に吹く冷たい北風
「木枯らし(こがらし)」とは、秋の終わりから冬の初めにかけて吹く、強くて冷たい北寄りの風のことです。その名のとおり、「木を吹き枯らしてしまう風」という意味から生まれた言葉だといわれています。
この風が吹くと、木々に残っていた葉が一気に散り、枝ばかりの冬らしい景色に変わっていきます。昔の人は、この様子を見て「木を枯らす風」と名付けたのですね。
漢字では「凩」とも書く
木枯らしは、漢字一文字で「凩」と書くこともあります。「風」の外側の部分(かぜがまえ)の中に「木」が入った形で、まさに「木に吹きつける風」を表しているような字ですね。
この「凩」は、中国から伝わった漢字ではなく、日本で作られた漢字(国字)です。「峠」や「畑」などと同じ仲間で、日本の季節の感じ方から生まれた文字といえます。
俳句では冬の季語
「木枯らし」「凩」は、俳句では冬の季語です。秋の終わりに吹くこともありますが、冬の訪れを告げる風として、冬の言葉に分類されています。
木枯らし1号とは?その年に初めて吹いた木枯らし
「木枯らし1号」とは、その年の秋から冬にかけて、最初に吹いた木枯らしのことです。気象台が条件を満たしているかを判断し、「木枯らし1号が吹きました」と発表します。
この発表は、冬型の気圧配置になり始めたことを知らせる、いわば「冬の便り」のようなもの。発表のニュースを見て、衣替えや暖房器具の準備を始める方もいるかもしれませんね。
なお、木枯らし1号が発表されるのは、全国どこでもというわけではありません。発表しているのは東京地方と近畿地方で、それぞれに条件が決められています。
木枯らし1号が発表される条件(東京地方)
気象庁の資料によると、東京地方の木枯らし1号は、次のような条件を基本として、総合的に判断して発表されます。
| 項目 | 条件 |
|---|---|
| 期間 | 10月半ばから11月末まで |
| 気圧配置 | 西高東低の冬型になり、季節風が吹くこと |
| 風向き | 東京で西北西〜北の風 |
| 風の強さ | 東京で最大風速がおおむね風力5(風速8m/s)以上 |
「西高東低」とは、日本の西側(大陸側)に高気圧、東側(太平洋側)に低気圧がある状態のことです。冬によく見られる気圧配置で、この形になると大陸から冷たい北西の季節風が吹きつけます。
つまり、どんなに強い風が吹いても、冬型の気圧配置による北寄りの風でなければ、木枯らし1号にはなりません。また、12月に入ってから初めて条件を満たした場合は、期間外のため、その年は「木枯らし1号の発表なし」になることもあります。
近畿地方の木枯らし1号は条件が少し違う
近畿地方でも木枯らし1号が発表されますが、東京とは条件が少し異なるとされています。
- 期間:二十四節気の「霜降(10月23日ごろ)」から「冬至(12月22日ごろ)」まで
- 気圧配置:西高東低の冬型の気圧配置
- 風:北寄りの風で、最大風速がおおむね8m/s以上
東京よりも期間が長く、12月に入っても発表される可能性があるのが特徴です。同じ「木枯らし1号」でも、地域によって基準が違うのはおもしろいですよね。そのため、東京では発表されたのに近畿ではまだ、ということもよくあります。お住まいの地域の気象台の発表をチェックしてみると、季節の進み方の違いが見えてきて楽しいですよ。
木枯らし2号・3号がないのはなぜ?
「1号」というと、2号や3号もありそうな気がしますよね。でも、気象台が発表するのは1号だけで、2号以降の発表はありません。
木枯らし1号は、あくまで「冬の訪れを知らせる合図」としての意味合いが強いものです。一度冬型の気圧配置になると、その後は冷たい北風が吹く日がたびたびやってきます。そのたびに番号をつけて発表する必要はない、というわけですね。
同じように「1号」だけが発表されるものに、春の訪れを知らせる「春一番」があります。春一番は、立春から春分のころまでに、その年初めて吹く暖かく強い南寄りの風のこと。木枯らし1号と春一番は、冬の始まりと春の始まりを告げる、対のような存在といえます。
木枯らしを使った言葉と例文
「木枯らし」は、日常会話や手紙でも使える季節感のある言葉です。
- 「今朝は木枯らしが吹いて、一気に冬らしくなりましたね。」
- 「木枯らし1号が発表されたので、そろそろ厚手のコートを出そうと思います。」
- 「木枯らしの吹く季節となりましたが、いかがお過ごしでしょうか。」(手紙の書き出し)
手紙の時候のあいさつでは、11月ごろに「木枯らしの候」「木枯らしが身にしみる季節となりました」といった表現が使われます。初冬の穏やかな晴れの日を表す「小春日和」とは反対に、冷たい風を感じる日に使うとぴったりですよ。
また、冷たい風が吹いた日は体が冷えやすくなります。木枯らし1号のニュースを聞いたら、上着やマフラーなど、防寒の準備を見直すきっかけにしてみてくださいね。
まとめ
- 木枯らしは、秋の終わりから初冬に吹く強く冷たい北寄りの風。「木を枯らす風」が由来
- 漢字では「凩」とも書き、日本で作られた国字。俳句では冬の季語
- 木枯らし1号は、その年に初めて吹いた木枯らしのことで、東京地方と近畿地方で発表される
- 東京地方の条件は、10月半ば〜11月末、西高東低の冬型、西北西〜北の風、最大風速おおむね8m/s以上
- 近畿地方は霜降から冬至までと、期間などの条件が少し違う
- 発表されるのは1号だけで、2号・3号はない
冷たい北風が吹いた日は、「これが木枯らしかな?」と季節の移り変わりを感じてみてくださいね。