この記事にはPRが含まれています。

日本のサンゴの北限はどこ?「サンゴ」と「サンゴ礁」で答えが違う理由をやさしく解説

「サンゴ」と聞くと、沖縄のような南の青い海を思い浮かべる人が多いですよね。では、日本の海でサンゴが見られる“いちばん北”はどこなのでしょうか?

この疑問、Yahoo!知恵袋の総合ランキングでも話題になっていました。実はこの質問、「サンゴ」と「サンゴ礁」のどちらのことを聞いているかで、答えがまったく変わるんです。

この記事では、その違いからやさしく解説していきます。

まず結論:北限は「何を数えるか」で変わる

先にざっくりまとめると、次のようになります。

  • サンゴ(生き物)として見られる北の端…日本海側は新潟県の佐渡島、太平洋側は千葉県の館山(房総半島)あたりまで
  • サンゴ礁(地形)としての北の端…長崎県の壱岐(いき)や対馬(つしま)周辺。「世界最北のサンゴ礁」とも言われる

同じ「サンゴの北限」でも、数百キロも場所が違うんですね。どうしてこうなるのか、順番に見ていきましょう。

「サンゴ」と「サンゴ礁」はどう違う?

サンゴ=海の生き物

サンゴは、イソギンチャクやクラゲの仲間にあたる動物です。中でも、体の中に褐虫藻(かっちゅうそう)という小さな藻を住まわせ、石灰質の骨格をつくるタイプを「造礁(ぞうしょう)サンゴ」と呼びます。

サンゴ礁=サンゴがつくった地形

一方のサンゴ礁は、造礁サンゴなどの骨格が長い年月をかけて積み重なり、海面近くまで届くような石灰岩の地形になったものです。

つまり、サンゴがポツポツ生えているだけでは「サンゴ礁」とは呼ばないということ。サンゴがたくさん育ち、地形をつくるほど積み重なって、はじめてサンゴ礁になります。

サンゴが生きていける場所よりも、サンゴ礁ができる場所のほうがずっと条件が厳しいので、北限の場所にも差が出るわけです。

サンゴ(生き物)の北限:佐渡島や館山まで

環境省の資料によると、日本の造礁サンゴの群集は、東京湾の入り口にあたる千葉県・館山湾あたりから南西の海に広く分布しています。

日本海側では、対馬暖流という暖かい海流の影響で、新潟県の佐渡島のあたりまで造礁サンゴの群体が見られるとされています。

「新潟でサンゴ?」と意外に感じるかもしれませんが、暖かい海流が北へ流れ込んでいるおかげで、思ったより北の海でもサンゴが暮らせるんですね。

なお、深い海にすむ「宝石サンゴ」や、褐虫藻を持たないサンゴの仲間はもっと冷たい海にもいます。この記事では、多くの人がイメージする“浅い海のサンゴ”(造礁サンゴ)を中心に紹介しています。

サンゴ礁(地形)の北限:壱岐・対馬

サンゴ礁については、かつては鹿児島県の種子島あたりが日本の北限と考えられていました。

ところがその後、長崎県の壱岐(北緯33度45分付近)でサンゴ礁の地形が報告され、「日本の、さらには世界の北限のサンゴ礁」として知られるようになりました。さらに北にある対馬のサンゴ群集を世界最北のサンゴ礁とする見方もあり、どちらを最北とするかは資料によって違いがあります。

サンゴ礁は一般に、赤道をはさんだ南北およそ30度くらいまでの暖かい海にできるとされます。北緯33〜34度あたりの日本海でサンゴ礁が見られるのは、世界的に見てもかなり珍しいことなんです。

和歌山の串本が「最北のサンゴ礁」と言われることも

和歌山県の串本町の海は、北の地域にしてはサンゴがとても多いことで有名です。串本の海域公園では、テーブルサンゴが広がる景色を見ることができ、「最北のサンゴ礁生態系」と紹介されることもあります。

これは「地形としてのサンゴ礁」ではなく、「サンゴがたくさん集まった生態系」という意味で使われていることが多い表現です。どの基準で「北限」と言っているのかを意識すると、情報の違いに混乱しにくくなりますよ。

温暖化でサンゴの分布は北上している?

近年は、海水温の上昇にともなって、サンゴの分布が北へ広がっている様子も観察されています。環境省の研究でも、日本の温帯の海はサンゴ分布の北限にあたり、熊本県の天草などでサンゴが増えたり、より南の種類が見つかったりしていることが報告されています。

一方で、海水温が高くなりすぎるとサンゴが白くなる「白化」が起きやすくなり、南の海ではサンゴが弱ってしまうこともあります。北限の変化は、海の環境の変化を知るサインとしても注目されているんです。

北限のサンゴを見に行くなら

北限に近いサンゴは、沖縄のような一面のサンゴ礁とはひと味ちがう姿をしています。冷たい季節を乗りこえるため、岩のすき間や浅い入り江などにひっそりと群れをつくっていることが多く、見つけたときの感動はひとしおです。

壱岐や対馬、和歌山の串本、高知の竜串(たつくし)などでは、ダイビングやシュノーケリング、グラスボートでサンゴを観察できる場所もあります。訪れる際は、サンゴにさわったり踏んだりしないこと、日焼け止めは海の生き物にやさしいものを選ぶことなど、サンゴを守るマナーも意識したいですね。

なお、天然記念物や海域公園に指定されている場所では、サンゴの採取が禁止されています。写真で思い出を残して、海はそのままの姿で楽しみましょう。

まとめ

  • 「サンゴの北限」は、サンゴ(生き物)かサンゴ礁(地形)かで答えが変わる
  • 造礁サンゴは、日本海側は佐渡島、太平洋側は千葉県館山のあたりまで見られる
  • サンゴ礁の北限は長崎県の壱岐・対馬周辺。「世界最北のサンゴ礁」とも言われる
  • 和歌山の串本は「最北のサンゴ礁生態系」と紹介されることもある
  • 温暖化でサンゴの分布は北へ広がりつつあると報告されている

身近な海にも、意外な生き物の“境界線”があるんですね。旅行やダイビングの際は、ぜひ北限のサンゴにも注目してみてください。

参考情報